オリンピックのエンブレム中止とGoogle

オリンピックのエンブレムが遂に使用中止に追い込まれた。
以前から、ブログや論文などサーチエンジンが使える文字情報での盗作追及は盛んだったが、いちいち人間が見て確かめる必要があった画像については、面倒なのでパクリ追及の盛り上がりは今一つだった。
あれだけ有名なデザイナーが、人の目に触れる案件で次々とネット画像を使っていたのも、画像は文字と違って出所を特定しにくいという頭が当人にあったからに違いない。

だが、今回はちがった。
画像のパクリが安全ではなくなった理由として一番大きいのは、Google画像検索の仕組みが以前と全く異なるものに変わっている点だろう。
以前のGoogle画像検索は、画像検索といっても画像そのものを認識できていたわけではなく、単に対象となる画像近くにある文字列を画像に紐付けているだけなので、当然その類似性を判別することなどできなかった。

しかし、現在のGoogleは当たり前のように画像を認識するようになっている。計算機の進歩による膨大な計算の結果、現在はそれが可能な領域に達しているわけだ。
実際にGoogle画像検索を使ってみると、画像ファイルそのものをアップして、それに似た画像を簡単に検索することができるようになっている。
つまり、誰もが一瞬で、世界中に存在する公開されたWeb上の無数の画像から、似ている画像をピックアップできる状態になっているわけである。もちろんGoogleにも限界はあるし、完全ではないだろうけど、多くの人が使えれば元ネタに当たる可能性はかなり高いわけである。
オリンピック委員会がどの程度の調査をしたのかは不明だが、今回の騒動をみると、Googleを手にしたまとまった数の一般人の群れには敵わないということになる。

恐らく、応募者と審査員を持ち回りでやって賞を仲間内で回している人々にとって、こういったテクノロジーの進化に敏感である必要は全くなかったのだろうとおもう。
そんなことをしなくてもコネで割のいい仕事がやってくるからだ。

しかし、今回はテクノロジーへの無知が致命傷となった。

オリンピックのような国家的イベントともなれば、仲間内だけというわけにもいかない。とくに当事者にコネがあることがわかれば、傍から見れば公正ではないのだから徹底的に攻撃してもいいという理屈も一部には働く。
仲間内の温室でなあなあと仲良くしていたのに、いきなり多方面から、何もかも見透かす目が向けられたら、それは確かに耐えられない限界状況でしょう。

彼らにとっては唖然、呆然といった状況ではないだろうか。

いまごろGoogleさえなければ! と当事者は歯ぎしりをしているのだろうけど。
都合の悪いものは消せという理屈で、実際にGoogleを追放している中国のような例もあることはあるけど、日本では無理なので、それを前提としてデザインをしないといけないわけで。

これからオリンピックエンブレムに再公募に応募する人は、過去の自分の作品や応募作をGoogle画像検索に入れてみるくらいはやったほうが良さそう。

でも、再募集では世間の目もあり露骨なコネ採用は難しそうなので、新進のデザイナーにはすごいチャンスかもしれませんね。