中国インターネット事情

ITを中心に中国の事 もろもろ

スタンドアローン・コンプレックス的な中国の世論

外部からは強力な上層部があってそこが中心のように見えるのだけど、実際は突発的に? 行動を起こしたオリジナルがネット上に多数の模倣者(物理的な行動、サイトへアタック、ネットに書込み、をする人間)を作りだし、それが上層へも影響を与えている構造ではないだろうか。しかも、今回行動したオリジナルですら実は前回の事件の模倣者で、模倣者が模倣者を作り出してゆくパターンだ。

計画的なのか偶発的なのかは不明。だが、いずれにせよ模倣者たちの増殖は上層部からみれば不気味だったのだろう。ベクトルが変化しても困るので上層部は強硬姿勢を取って強い意志を見せ、勝手なことをしないように一つの方向に人々をまとめあげているだけなのではないだろうか。

「模倣者がさらなる模倣者を作り出す」といった問題の解決はどの上層部にも不可能なので、極端な方向に走らずに、だらだらとやってゆくしかない。一喝号令で政策を変えられるどこか強力な政府(トップ)さえ説得すればよいという時代は終わってしまったのである。

スタンドアローン・コンプレックス事象である以上、模倣者の一人にすぎない今回の行動者を開放したら収束するのではなく、この事件は模倣者を再生産しつつ今後も続いてゆくことになるだろう。

だがしかし、この事象こそ、中国でインターネットの普及が進んでいる証拠といえる。

スタンドアローン・コンプレックス
攻殻機動隊というアニメーションに出てきた言葉で、ネットワーク技術の発展が本来関連の無い主体同士を密接に結びつけ、模倣者を発生させつつ一体化してある特定の事象を引き起こすといった概念を表す。