中国インターネット事情

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日中関係は、総理よりもマンガのキャラクターにかかっている

12月初旬の時期、中国では日本語検定試験が行われている。実は中国で英語の次に学習人口が多い言語が日本語だ。以前は年一回だった検定試験の回数も、受験者数の増加により現在は年2回になっている。

日本のマスコミ報道からすると結構以外な感じがするが、中国の本屋に行ってみると日本語の教本スペースが英語の次に大きいことに気づく。


沢山の本が売られているということは、中国での日本語学習マーケットが大きいということを示していて販売されている本の量からいってこれはかなりの日本語学習熱だ。
中国の人々が日本語を学習する理由は留学や日本企業への就職など様々だがその中には日本のアニメを見たいからというものもある。

さて、日本でもそうだと思うがマンガ等のサブカルチャーは、表にある学校の教育とは違った影響を子供に与える役割を担っている。筆者自身も、学校の勉強は忘れたが子供のころに見たマンガやアニメなどは現在でも結構覚えている。

表の教育が日本を否定するものであったとしても、裏にあるそれらは何気に日本肯定であったという事実が、80後、90後といった中国の若い世代に有る意味、客観的な視野を与えているのではないだろうか。
中国の掲示板の書き込みも日本の鏡のような状態になっていて、国名が逆転している以外は書いてあること自体にそれほど差は見受けられない。日本の掲示板に書き込んでいる人間が意外と普通であるように、中国でもまた普通の人に過ぎない。
まじめに勉強するよりマンガを読みたいというのが少なくても学生時代の筆者の本心だった。合理的に考えれば彼らもそうだったのではないだろうか?

さて、恐らく今後、日本と中国の関係に最も影響を与えるものは日本の首相などではない。百度という中国最大のサーチエンジンのキーワード・ランキングをモニターしていると、ベストテン圏内に常にランキングされているものがある。「火影忍者」という単語がそれだ。これは日本の『NARUTO -ナルト-』というマンガと、それを原作にしたアニメを示している。

どのようなマンガかといえば、
NARUTO -ナルト-』(ナルト)は、岸本斉史による日本の漫画作品。またはこれを原作とするメディアミックス作品の総称。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて1999年43号から連載中。単行本は2010年11月時点で53巻まで発刊中。忍者の頭目を目指す少年うずまきナルトを中心にして展開される忍者アクションコミック。
(wikipediaより引用)

このマンガだけではない、それに続く他のマンガも日本の姿を伝えることに成功している。日本の首相にだれも興味がないが、マンガのキャラなら知っている人が多いということだ。

そして重要なのは、これが中国の一部のオタクだけの小さな話ではなく一般的な現象として広まっていることが、サーチエンジンのキーワードランクや日本語学習者の増加という点からも推測できるということである。さて、裏と表 本当に重点を置いた教育はどちらだったのだろうか?

ナルトのテーマは相互理解だが、それが日本のアニメの中で一番人気だというのも何か興味深い話ではないだろうか。
見る人間に変な思いこみが込み上げない分、少なくても首相よりナルトの動向のほうがはるかに深く中国の人々に影響を与えるであろうということは間違いがないだろう。

日本の政府機関の資料によると、2003年から2006年のわずかな期間に中国の日本語学習者数が76.4%増加で68万人となっている。経済発展による教育熱の高まりから考えて、現在の実数はその数倍になっていても不思議ではない。日本語版TOEIC(JLPT)だと全世界の受験者数の1/3以上が中国の人になっている。

http://www.jpfbj.cn/Education03_01.asp