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京東商城 価格比較サイト アリババ傘下の”一淘網”への接続を拒否

許可なしで京東商城の製品評価情報をキャプチャすることを理由として、京東商城のCEO劉強東は最近微博でアリババ傘下のショッピング価格比較検索サービス「一淘網」を非難した。
その後、京東商城はrobots.txtファイルの中で検索のルールを変更することで一淘網が商品情報やユーザー評価内容へのキャプチャを拒否した。

ショッピング検索エンジンとして、一淘網はB2Cサイトにトラフィックをもたらすことができる。なのに、京東商城は一淘網を非難した本当の理由は一淘網が脅威になるのを心配しているためだと一部のアナリストが述べた。
分析によると、商品の価格がネットで最も安いという点が京東商城の誇りだったが、一淘網では京東商城のこの優位性がなくなった。
一淘網で検索すれば、京東商城の最も強い3Cデジタル製品を含む多くの商品、京東商城の価格よりもっと安い価格を見つけることができる。

また、アナリストによると、京東商城今は赤字を代価として規模を拡大している。
しかし、将来は値上げする必要がある。一淘網の成長は京東商城にとって脅威になるため、揉め事になるのも避けられないことだという。

京東商城に続いて、蘇寧易購と当当網も一淘網の検索を遮断した。一方、B2Cサイトアマゾン中国は自分の商品の価格には自信があって、ショッピング価格比較検索を恐れないため、一淘網の検索を遮断しないとアマゾン中国の総裁王漢華が述べた。

また、国美電器傘下の2つのECプラットフォーム(国美電器ネット商城と庫巴網)は一淘網と接続して提携を強化し、この紛争に参加した。

【一淘網URL】
http://www.etao.com


京東は安いものは安いが全てが安い訳ではない。 筆者は実際にきのう専門書を注文したのだが、アマゾン中国などに比べて10元以上高かった。
一淘網が幅を利かせると、京東がいままで築いてきた、安いというイメージを崩すことになる。これは彼らにとって脅威ではないだろうか。
それに、京東としては自らのサイトのトラフィックも十分なので、別に一淘網に頼る必要もないという考えもあるのだろう。

逆にこれを利用するべきは、先行する京東を追いかける立場にあるショッピングモールであろう。
価格競争に突入すると消耗戦になるので難しいことであるが、京東に勝つためには京東以上の赤字も覚悟する必要もあるだろう。
あまりやり過ぎると、一淘網のような場所「日本の価格com」で最低価格戦略を取って一気に名を上げたものの倒産したPCサクセスのようになってしまう。
しかし、もし、VCの資金が集まり易い中国にPCサクセスが存在していたら勝ち残ったかもしれない。

では、何故アリババがこれをあえて開発したのだろうか?
一淘網のサービスとしては、価格コムよりグーグルショッピングに似ている。しかし、アリババは自身が最大の売り手である。
つまりGoogleとは全く異なる理屈で構築されたのであろう。

先ずは、他の商城に流れるはずだったトラフィックを一淘網に引き寄せる……
そしてその後に、
・自社傘下のタオバオの商品が推奨商品として表示される。
タオバオはアイテム数で圧倒的に多いから、表示される確率は他のモールにくらべて格段に高い。
・品揃えが悪い他社のモールに行って、違う物を購入されるより、一淘網のサービスを利用してもらって自社の豊富な品ぞろえから選んでもらった方が良い。
・価格が他の商城と同じか、多少の差しかないなら、最大手のタオバオ商城から買いたい(大手は安心)という心理を突く事ができる。
このような手法により、自社サイトへのトラフィックを最大化する。

こんな思惑があるのかもしれない。