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iPhone組み立てで有名な富士康 学徒動員が明るみに

最近、メディアの報道によると、「富士康」(Foxconn)の煙台工場は実習名義で大量の学生を動員した。
中には、多くの16歳未満の学生が含まれているという。

報道によれば、今年9月から山東省煙台市政府は各職業高等学校高等専門学校に学生を富士康に送って実習させることを要求した。
これらの学生の最低年齢は14歳であると報道されている。

これらの学生はライン作業で、専門には関係のない労働に従事している。
注文が殺到するため、学生たちは昼夜連続の突貫工事を余儀なくされた。休むことすら難しい状態であったという。
報道後、この事件は世論の大きな反響を引き起こした。

「富士康科技集団」10月16日の発表によると、メディアの報道は基本的に事実だという。
確かに一部の実習生は16歳以下で、現在は各工場に徹底的な調査を行い学生に謝罪するように促したと述べている。

この学徒動員事件は富士康と地方政府がコストの削減を求めるためだと経済学者謝国忠が述べた。
また、通信業界の高級アナリスト王志光は、今回の学生労働事件は富士康或いは郭台铭の指示によるものではなく、その工場の個別の行為だと考えている。

なお、富士康は煙台工場ではアップル製品は作っていないとしている。
しかし、中国のネット掲示板の論調としては、iPhone5制作が忙しいので、この工場にそれ以外の生産が回されて忙しくなったのではとか、ほかの工場でもやっているんじゃないのか? とか、工場単体の判断ではなく組織ぐるみではないかと疑念が呈されている。
また、この実習に行かなければ、学生は単位を貰えないのだから、ほとんど強制に近いという既述も見られた。

富士康といえばシャープに出資するしないで揉めていたホンハイの中国法人である。
今のところ、このような何でもありの工場には、コスト的に日本国内の工場は太刀打ちすることは不可能であろう。
しかし、今回の学徒動員事件はEMS(受託生産)というビジネスそのものが、急激に上昇する工員賃金に悲鳴を上げているということかもしれない。
世界の工場と言われた中国での生産も、まともにやっていたら、もはや割に合わないという時代に差し掛かっているのだ。