中国インターネット事情

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中国におけるクラウドソージング

最近話題のクラウドソージング。
誰でも参加でき、結果のみが評価されるというこの仕事。
日本でも東欧でも国はどこでもいいから、プログラムやコンテンツを一番早く安く作れるやつがエライというこの単純さ。
ここでは、ユニクロの社長が言っていた同一労働世界同一賃金が既に達成されているわけです。

こんなものがあると、この内部では先進国補正がされずにまったくなく同一の競争に曝されるのみならず、現在は先進国補正が効いている仕事にも影響を与えることになると思われます。
日本で給料が下がっているのは、単に世界的に見るとまだ高いから均衡に至るまで下がり続けているということなのかもしれません。

逆に中国はといえば、最近は人件費が高騰していると言われますが、実際はどうなのでしょうか。
元高に伴って、海外から見るともはや中国は安くはないという話もあります。

実は大卒就職内定率35%と日本の氷河期などと比べものにならない厳しい状況です
正社員になれた人の給料は高いのでしょうけど、ダメだった人もいきなり工場とか農業で就職するわけもなく都市に滞留し、ホワイトカラーの仕事を狙うわけです。
そんな沢山いるミスマッチな人々の吸収先として、中国のクラウドソージングがあったりします。
そして、供給過剰ですから、やはり中国内でもかなり安く仕事をしてくれます。
日本よりは未だ給与水準の低い中国でも、まだ安いということです。

つまり同じ仕事(オフィスワーク)を処理する場合に、

日本の正社員がやるより安く
日本の派遣社員がやるより安く
中国の正社員がやるより安く
日本のバイトがやるより安く
中国のバイト以下で

出来る可能性がかなり高いということになります。

中国のクラウドソージングサイトは「威客网站  Witkey site」と呼ばれていて「猪八戒」という中華風のネーミングのサイトが最大手。タオバオにも沢山クラウドワーカーが居ます。
このサイトを筆者も使ったことがありますが、便利です。もちろん仕事にはバラつきがありましたが。
これらの中国氷河期世代クラウドソージング部隊が世界に出てゆくと、世界的にクラウドソージングの価格が下落するかもしれせん。

http://www.zhubajie.com/
米ドル支払可とある猪八戒

一部の高レベルなプロフェッショナルは、このプラットフォームが有ることによってより稼げるのでしょうけど、他の大多数は生き残るのが精いっぱいという状況に陥りかねません。
クラウドソージングが会社そのものの概念を変えてしまい、ブラック企業のほうがまだマシだったと、そんな旧型の会社を懐かしむ日が来かもしれませんね。

やっぱり普通に考えると、やっている大多数の人間はあまり儲かりそうもないんだけど、フリーランサーをうまくまとめてマネージメントする扇の要のような人物にはチャンスがあるかもしれないと思いました。
実際に中国のクラウドワーカーを100人くらいつかって一つのこと(投稿文章や写真、動画の判定といった単純なことではない)をやろうとしたら、結構マネージメントに創意工夫が必要だったので。

先進国補正にまだまだ期待したい我々としては、後は日本語の難しさに賭けたいところです。しかし、中国では英語の次に日本語やっている人が多いのでこのバリアーもどこまで頑張れるか。