ギリシャエーゲ海の島々が中国の海南島化。20m歩く度に中国語

中国人の海外旅行といえば、少し前までは日本や韓国などの近場に団体で来て、大量の物を購入して帰るというイメージがありました。
しかし、元高や中国経済の拡大によって、この状況が変わりつつあるようです。


中国人に大人気 サントリーニ島の教会。写真を撮影しているバックには、もちろん中国語が聞こえる。

経済破たん後のギリシャは、何か暗い雰囲気があるのかと思いきや、妙に明るく、経済危機だとかそんな雰囲気はあまり感じられません。
店などは、さっさと定時に閉めてしまうので、観光客がまだ沢山いるのでもったいないと思うが、経済危機だからっていちいちやる気にならないのがギリシャ流なのかもしれませんね。
経済危機の爪痕はグローバル経済に抗議すると書かれている落書きぐらいで、あれだけ問題になったのに、余裕をかましていられる理由は一体何なんでしょうか?
これがもし日本なら、閉塞感がどうのとか結構暗い雰囲気になっていることはほぼ間違いありません。

東洋人と見ると、ギリシャの店員さんなら、ほぼ100%「ニーハオ!」と話しかけてきます。
経済危機ぐらいではやる気にならなくても、中国人の多さにはさすがのギリシャ人もやる気になってくるようです。
なにしろ、ギリシャの観光地では20m歩くと中国語が聞こえてくる状況ともなれば当然でしょう。購買力の高い中国人観光客が大量にいるわけですから。
中国語の看板もあちらこちらで見かけ、またレストラン等では中国語版のメニューがあり、ギリシャ人の店員も「ジーロウ」とか「ニュウロウ」とか言っているので何かと思ったら中国語。
これでは、ギリシャエーゲ海に来ているはずなのに、まるで海南島にでも来ている気分になってきます。

ギリシャのブランド品「Folli Follie」等を大人買いする姿も見られ、当地にかなりのお金を落としていることも見て取れます。
上海の新世界デパートに「Folli Follie」の店がありましたので、中国ではかなり人気なのでしょう。
これだけの存在感を見せつける中国人観光客達が、ギリシャの経済危機の緩和し、したがって当地ではあまり危機感が感じられないといった状況になっているわけです。
一時期、経済危機で100円割れまで行ったユーロが130円越えしているのには、ちゃんと理由があるようです。

本当かどうかはわかりませんがギリシャは中国人にとって比較的ビザが取りやすい国という噂があり、ヨーロッパへのゲートウェイとして人気があるようです。
EUに加盟しているギリシャのビザ(シェンゲンビザ)さえ取れてしまえば、ギリシャ経由でイタリアでもフランスでも好きな国に行くことができるからです。
http://http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%B3%E5%9C%8F
世界最強クラスのパスポートを持つ日本人には実感できない部分ですが、ビザの問題は中国人にとっては大きな問題です。
それが、1つ取得すれば30ヵ国近くの入国が一度にOKになるというのはすごいメリットではないでしょうか。
一方、近いとはいえ、日本は1ヵ国でビザが必要な上、手続きも煩雑なため面倒です。
2国間関係の悪化の問題もあるかもしれませんが、中国人観光客の減少は決してそれだけが理由ではないでしょう。
単に他国に比べて競争力がないだけで、もし日本側が商売として観光客を増やすなら、更なるテコ入れが必要であろうことは容易にわかります。

そして、ヨーロッパを旅行する中国人観光客が、ほとんど個人旅行者であるといった点もこれまでとは違うイメージでした。
日本だと、秋葉原あたりに中国人観光客の団体が沢山くるというイメージがあったのですが、ヨーロッパの観光地ではそうではありません。
当地では日本人の団体旅行客を結構見かけましたが、中国人の団体旅行客はほとんど見かけません。
中国人は日本人より英語が得意な人が多いので海外旅行へ行ける階層なら言葉は問題ないのかもしれないし、また、ビザの問題さえなければ中国人はわざわざ団体旅行なんかしたくはないのかもしれません。
そういえば、本屋ではロンリープラネットの中国語版が人気のようです。
つまり、ビザの問題があったために中国人といえば団体というイメージがあっただけで、個人旅行の増加は、経済力の拡大に伴い、本当にしたい旅行をしているということかもしれません。
ギリシャは個人旅行のビザも比較的出やすいということです。

ヨーロッパにこれだけ中国人観光客が増えれば、彼らを相手に商売をしようという中国人も居ます。
レストランやホテルは勿論、ギリシャでは結婚写真撮影の商売が数多く行われていて、エーゲ海の島々では中国のカップルが結婚写真を撮る姿を何度も見かけました。
撮影代が数万元のものもあり、商売として成立しているようです。
ただし、まだまだサービスがプリミティブな感じで、日本の撮影会社や旅行会社がより洗練された撮影サービスを彼らに提供すればビジネスチャンスがあるかもしれないと感じました。
もしかしたら、中国本土で中国人を相手に商売をやるより、競争相手が少ない海外の第三国で海外旅行できる中国人(富裕層)相手にこのような商売をするほうがやりやすいかもしれません。
日本人が円安で来なくなって困ったという旅行会社も、いろいろとやりようはありそうです。

EUにちょっと行ってみると、中国人観光客の多さに圧倒され、彼らが世界を揺るがしたギリシャ経済危機に大きな影響を与えていることがすぐにわかるわけです。
グローバル経済に抗議する落書きがあると書きましたが、結局その経済を救ったのは、落書きを書いている人間ではなく中国という他国の観光客=グローバル経済だったようです。

距離的に近くに住んでいる人がグローバル化反対と唱えていても、自分が最も儲かる仕事を近くの人が与えてくれているかどうか考える必要がありそうです。
もしかしたら、すごい遠いところの人かもしれません。ギリシャの島々は遠いところにいる顧客に適応するように、中国語の看板、話しかけてくる言葉、結婚撮影と海南島化しつつあるようです。
彼らの顧客は近くで落書きを書いている人々ではないからなのでしょう。