NHKスペシャル「老後破産の現実」 これが一般化する日に

少し前にNHKスペシャル「老後破産の現実」という番組をやっていた。
高齢者人口が3000万を越えた超高齢社会の日本には、600万人弱の一人暮らしの高齢者がいて、その半分は生活保護以下の年金しかもらえないという。
その一部は生活保護を貰っているが、残り200万人余りは生活保護を受けずに暮らしているというのだが……

これは、遠い未来の話ではなくて今現在の、逃げ切り世代と言われている人々が年金を貰っている今現在の話だという。
番組自体は何の救いもないもので、それはそれで絶望的なのですが、もっと暗く恐ろしい何かを感じずには居られませんでした。
恐怖を感じると言った方が良いのかもしれません。

それは、上海や北京の街角で、或いは外人など来たことがないような奥地の村で、筆者はそれを何度も垣間見て、そして無視してきたものが確実に日本にも迫ってきているのだという恐怖です。
病気になったら一家破産か、或いは見捨てるかと言う選択をさせられたり実際に見捨てられたりする、人権とかそういったレベルではないリアルな生存環境の厳しさです。

全ての日本人は世界的にみれば、ある意味「逃げ切り世代」と同じだと言えるのかもしれませんが、フラット化する世界では、中国の姿は明日の日本の鏡で日本の姿は明日の中国を映し出したものだと言えるのかもしれません。
逃げ切り世代=先進国 と 逃げ切れない世代=途上国 と考えた場合、人口の多さから言って、日本よりも中国に近い形で世界は均衡化すると考えるのが妥当だと思います。

「逃げ切れない国」の「逃げ切れない世代」の状況と、未来を予測する時、恐れを抱くのです。
そして、逃げ切り世代と逃げ切れない世代の格差は国の債務(これに関しては中国はかなり健全)になって、金利付で逃げきれない世代を襲うことになるわけです。

■政府債務の少なさ 世界133ヶ国中(P380)
https://members.weforum.org/pdf/GCR09/GCR20092010fullreport.pdf
日本132位(最下位)
中国20位

我々には、地縁血縁がまだ残り、整えられた社会保障を体験していない中国の状況より悪い老後しか残されていないのかもしれません。
少なくても、新たに獲得するより手放すほうが、より悪い状況になります。

NHKスペシャルは、確かに今現在の悲惨な状況を放映していました。
だからといって、国が予算を使って今すぐにどうにかしろと即座には言えないというのが、将来の「逃げ切れない国」に住む「逃げ切れない世代」の偽らざる感想ではないでしょうか。
そういった、理想的で進歩的な政策が、自らの「老後破産」をより厳しいものに変えてしまうことが、わかりきっていますから。
だから、この番組にはとてつもない絶望感が漂っているのでしょう。

もちろん、我々個人個人にはリスクを取って、勝ちあがるという選択肢も残されています……
中国でも日本でも一部の人は老後の不安から解き放たれることができるでしょう。
この意味に恐怖を感じるのであれば、あなたも私と同じような考え方をする人なのかもしれません。
中国の人の必死さを、決して笑うことはできないのです。